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2007年11月24日

行動療法的アプローチを進めるにあたって

Knetニュース10月では「場面緘黙と行動療法的アプローチ」を掲載しました。

場面緘黙の治療によく使われているのが、行動療法的なアプローチです。
緘黙児は学校や教室で話すことに大きな不安を感じているので、まず最も安心できる母親と一緒に誰もいない学校や教室に行って会話練習することを、多くの専門家が勧めています。場面緘黙の症状が現れる学校や教室で、話すことに少しずつ慣らして不安を軽減していくエクスポージャーという方法です。(Knetニュース10月より)

この方法は、海外のサポート団体SMIRA(英国)やSMG~CAN(米国)でも非常に有効な方法として実践されています。
カナダのマックホーム先生著“Helping your child with selective mutism”
河井英子・吉原桂子共訳(2007)『場面緘黙児への支援−学校で話せない子を助けるために−』田研出版では、この「行動療法的アプローチ」の細かい実施方法について書かれています。
この本が、日本で出版されたことはとても大きいと思います。

しかし、訳者の河井英子先生は「あとがき」で次のように書かれています。
「本書に書かれている手続きを厳密に実行することが非常に難しい」
「学校側に一片の翻訳本をかざしてみてもそれを理解して全面的に受け入れてくれることなどないのではないかと思わざるを得ません」

Knetでは昨年春からこの本の原書をチームで読んだり、海外のサポート団体のhandoutsを翻訳したりして、Knet資料としてまとめweb上で公開してきました。そしてこの1年の間、多くの保護者の方がKnet資料を持って幼稚園や小学校や中学校に行かれましたが、河井英子先生のおっしゃることば通り、私たちは様々な難しさを体験してきました。

しかし、保護者と心理士がネット上で励まし合い、情報交換をする中で、「会話の階段」を確実に登ってきた子どもさんが何人もおられます。

日本の教育に特別支援教育が入って来て、まだ2〜3年です。まだまだ学校の先生の中には、「支援」と「特別扱い」を混同されている方もおられるようです。保護者の方は先生から「お宅の子どもさんにだけ特別にはできません」「私は特別扱いしません」と言われて傷つかれる方もいると聞きます。
「必要な支援」は、「特別扱い」とは異なります。

この方法を導入するためには
「学校にどのように場面緘黙について説明するか」
「学校にどのように話して子どもの特徴を理解していただくか」
「どのような対応や支援をお願いするか」の他にも

「お友達や知り合いにどう説明するか」
「子どもの気持ちを大切にしながら、どのように導入まで持っていくか」
「小学校中学年以上の子どもにはどう説明するか」など、
その子にあわせて本当に1つ1つ丁寧な対応が必要です。

Knetでは、会員のみなさんと共に現在新しい資料を作成中です。
大切なのは、子どもも保護者も、「ひとりじゃない」と感じていること。
そう感じることで、困難な道のりも共に前に進んでいけると感じています。