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2008年8月31日

 高2 夏休みのチャレンジ

息子は小学校3年生のときに場面緘黙の状態になりました。中学校で先生方の理解と支援のもとKnet資料などを参考に取り組みを行い、卒業までに少しずつ緘黙の状態が改善し、十分自信を蓄えることができました。高校進学をきっかけに話せるようになり親しい友だちもできましたが、2年生になって友達関係が変化し一人でいることが多くなって、また学校がつらくなってきました。

夏休み中はプレッシャーもなくて、息子はリラックスして楽しく過ごしています。ちょっとしたチャレンジにも成功し、新たな目標も見えてきて、少し前向きな気持ちになれたようです。夏休みももうすぐ終わりで、また、「学校行くのやだな〜」と言い始めましたが、学校以外のことで楽しみにしていることがあるので、「いやだけど、頑張るよ!」 とも言っています。

夏休みが終わる前に、久しぶりに、本やウェブ上で読んで知ったことをまとめながら、最近私が感じていることなどを書いてみたいと思います。

                                          Knet事務局 みち(保護者)
 


《社会不安を克服することについて》

最近の研究では、場面緘黙は 「社会不安障害」 のひとつなのではないかと考えられています (以下は、クリストフ・アンドレ著, パトリック・レジュロン著, 野田 嘉秀訳 『他人がこわい―あがり症・内気・社会恐怖の心理学』紀伊國屋書店を参考にしています)。

そもそも、「社会不安」 は治療すべきものなのか、それとも、本人の努力で克服できるのかという疑問があります。人間関係に悩んでいる全ての人が、「病気」 であるわけではありません。「それが、『病気』 であるかそうでないかの違いは、その人がどれだけ苦しんでいるかが目安となる」 と本にあります。すべては本人次第で、その人自身が 「変わりたい」 と望んでいるかどうかが問題で、治療すべきかどうかということは、本人の気持ちが最も重要なポイントになります。

「場面緘黙」 に関しても、子供がある程度の年齢に達した場合、本人が 「話せるようになりたい」 と思っているかどうかが、治療的介入を始めるかどうかのポイントになりますね。


学校で 「話さない」 ことによって心のバランスを保っている子は、それが崩れてしまうのを(無意識のうちに)恐れていますから、自分から 「話したい」 と思うことは難しいでしょう。長い間、場面緘黙状態だった子にとって、今までの行動パターンを変えることへの恐怖心を取り除くのは、とても難しいことです。もし可能になるとすれば、それは、友達との暖かい交流の中で 「友だちともっとつながっていたい」 と実感できたときや、スモールステップで何かに挑戦し小さな自信を積み上げていくことができたときなのではないかと思います。


《スモールステップでチャレンジし続けること》

先日、かんもくネット会員の方に、「NPO京都ハートネットワーク」 というブログを教えていただきました。そこには、発達障害傾向を持つ息子に伝えたいことがたくさん書かれてあります。


その中で、 親として特に 「なるほど」 と思う記事がありました。
7月29日の記事 「療育によって成長・発達が促進される〜想像以上の効果がある」 の中の次のような内容です。

少しがんばればできるような課題を子どもに用意すること

療育で大事なのが親子共の情緒的安定
 何もしないのが、情緒の安定ではない
 いろいろな事に挑戦することによる子ども自身の成就感が情緒に安定を図る
 そのことによって、自己肯定感や自尊感情を養っていく


スモールステップで挑戦し続けること、努力を認めてほめること、そのことで自己肯定感を育てること。
その積み重ねによって自信が生まれ、気持ちが安定し、それまで 「絶対に無理」 とあきらめていたことにも挑戦できるエネルギーが生まれてくるかもしれません。自信を失っていろいろなことをあきらめているかに見えるときでも、何もしないで見守るのではなくて、どんなに小さなことでもいいから、何か挑戦できることを見つけ子どもに提案してみることで、前に進むきっかけをつかめることがあります。最初は、「話すこと」 からかけ離れていることの方がいいんです。7〜8割以上成功しそうなこと、うまくいったら楽しいことが待っているようなチャレンジが提案できるといいんですが・・・。


《自立に向けて》

方向音痴の息子は、夏休みに、「地図が読めるようになること」 や 「ひとりでバスに乗ったり、知らない通りを歩くこと」 にチャレンジしています。
最初は近いところまで、片道だけで迎えに行ったりしてますが、少しずつステップアップし、次第に自信を深めていく様子がうかがえます。その中で、あわよくば、「わからないことは人に聞くこと」 にもチャレンジできたら・・・と思っています。

自立とは、『どれだけ他の人の協力を得られるか』 ということ

これも、会員の方に教えていただいたことです。「自立」は、何でも自分で出来るようになることと思いがちですが、そうではないのだと思いました。
息子には、「『わからないことがあったら人に聞く』 っていうのができるようになることが、すご〜く大事なんだよ」 とせっせと話して聞かせています。ちょっと自信がついてきた息子は 「うん、わかったよ!」 とやる気満々のようです。パンクロック好きの息子の最終目標は、電車やバスを乗り継いで、遠方のライブ会場に友達を誘って出かけることです。今の息子にとって、これが自力でできたらすごいことです。勉強よりも数倍大事なことです。なんとか実現できるようサポートしていきたいと思っています。