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2008年3月12日

保護者と取り組む「認知行動療法的アプローチ」

これまで、息子の場面緘黙と取り組むうちに、様々なことを勉強させていただきました。
ここでは「認知行動療法」について、私が本やウェブ上で読んで知ったことをまとめてみたいと思います。
                                  Knet事務局 みち(高1男子の保護者)


年齢が上の子ども(小学校中学年以上)や大人の場面緘黙症の改善には「社会不安」の治療法として注目されている「認知行動療法」(CBT)が有効とされています(Knet資料にもあります)。

「認知行動療法」とは 「ものの見方(認知)と行動様式を変えるための治療法」です。

日本にはCBTの専門家が少なく、実際にプロに関わっていただくのは難しそうですが、お母さんがセラピストの代わりをしたり、本人がセルフセラピーとして実践したりすることも可能なようです。
私たちは専門家ではないので「治療」はできませんが、その手法を真似たアプローチは素人でも難しいことではないように思います。

年齢が上の子の場合、緘黙状態だった期間が長く、学校で話さない習慣が深く身についています。認知行動療法的アプローチは、私たち保護者でもそれ程難しくないと書きましたが、子どもの気持ちをこの試みのスタート地点まで持っていくことの方がむしろ大変であり、大切なのではないかと思います。

年齢が上の場面緘黙の子に「認知行動療法的アプローチ」を試してみるには

・子どもの置かれている学校環境が整っていること(そのままで受け入れられている)
・子どもが学校生活を楽しんでいること(リラックスして過ごせている)
・子ども本人が克服したい気持ちをもっていること(挑戦してみようかと思っている)

などの条件がそろっていることが必要なようです。このような条件がそろって子どもがやる気になっているときに有効な方法であるということを頭に置いて読んでください。

環境が十分整わないうちに、また本人に「変わりたい」というエネルギーが蓄えられていない時期に、安易に学校での取り組みの提案をするのは危険だと思います。
子どもが自分を否定されたと感じ自己評価が下がったり、プレッシャーを感じて不安が高まったり、かえって症状が後退してしまう可能性も高いように思います。無理をさせると不登校などの原因にもなりかねません。慎重にその子にとって適切な時期を待たなければならないと思います。
また、この試みをうまく進めるためには、親子が日頃から様々なことを話し合える関係であることが必要です。思春期の子どもたちに親が介入できる例は、実際には少ないかもしれません(Knet資料No.14を参考にしてください)。
http://kanmoku.org/handouts.html


「認知行動療法的アプローチ」では、

●セラピスト(お母さん)は相談者(子ども)に対して症状が起こるメカニズムを詳しく説明したり、治療法について話し合ったり、相談者の疑問にわかりやすく答えたりすることが必要です。
●うまくいかなかった場合は別のやり方を試してみたり、最初に決めておいた方針を捨てて別の方法を提案してみたりといった、臨機応変な対応が求められます。
●どういうやり方で進めるかは、セラピスト(お母さん)が一方的に決めて押し付けるのではなく、相談者(子ども)と一緒に話し合い、協力し合って決めていきます。
●そして最終的には、セラピスト(お母さん)と一緒に取り組んだやり方を、日常生活で相談者(子ども)に一人で実践してもらいます。
●そのためには、相談者(子ども)自身が積極的に取り組み、自分自身についてよく観察しなくてはなりません。

(クリストフ・アンドレ著, パトリック・レジュロン著, 野田 嘉秀訳 「他人がこわい―あがり症・内気・社会恐怖の心理学」紀伊國屋書店を参考にまとめました。)


人それぞれ自分に合うやり方は違っています。いくつかあるアプローチのうちのひとつに過ぎませんから、みんながこのやり方をすればいいということではありません。また、今回参考にしているのは大人の「不安障害」の克服法について書かれた本ですので、小学生にはそのままでは難しいかもしれません。表現のまずいところも若干ありそうですが、ご勘弁ください。なお、興味のある方は本を読んでみてくださいね。