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2009年3月30日発刊予定
場面緘黙へのアプローチ―家庭と学校での取り組み(DVD付)

Rosemary Sage & Alice Sluckin 編著
杉山信作/監訳 かんもくネット/訳
発行:田研出版株式会社  
DVD字幕制作:JIP日本心理療法研究所
3600円+税

 本書と付属のDVDは,イギリスで実践され効果を上げている場面緘黙への取り組みをテーマに,2004年に保護者支援団体SMIRA〔スマイラ〕(場面緘黙情報研究協会)と レスター大学が共同で作成した『Silent Children -Approaches to Selective Mutism-』の全訳です。

 場面緘黙へのアプローチは,家庭と学校が協力し合い, 子どもが話すことができる“家庭”と,まだ話せない“学校”の間に 安心の橋を架けていくという視点が不可欠です。 家庭と学校が力を合わせて場面緘黙児をサポートしていくために,ぜひご利用いただければと思います。

 DVDでは場面緘黙の基本的な理解や対応,取り組みについての重要なポイントが 24分間の映像でコンパクトにまとめられています。
~訳者あとがきより

序  文

 場面緘黙やそれに類するコミュニケーションに難しさを持つ子どもには,複合的な支援が求められます。保護者と密に連携をとりながら,異なる領域の関係者がさなざまな取り組みを行うことが必要になります。このため,保育者や専門家たちは,過去に経験しなかったようなさまざまな難しさに出会うことになるでしょう。

 本書は,この分野の研究に大きく貢献するものです。“場面緘黙”について膨大な臨床経験を持つ著者のローズマリー・セージ(Sage, R.)とアリス・スルーキン(Sluckin,A.)は,その経験をもとに,保護者,教育関係者,心理や医学専門家の役に立つように簡潔でわかりやすいテキストにまとめました。本書は,実際に緘黙児にかかわってきた保護者,教育関係者,心理や医学専門家によって執筆されていることで,さらに役立つ内容となっています。

 保護者の視点で書かれた章は,特に率直で新鮮でしょう。いろいろな心配,焦りやいらだち,そして,つらい時期にどのように子どもを援助していったかが具体的に書かれています。教育現場での取り組みについては,小学校の教師,特別支援教育のスペシャリスト,コミュニティ・カレッジの補助指導員,校長先生など,経験豊かなさまざまな専門家たちが執筆しました。そして,最後は言語聴覚士と児童精神保健師がうまく締めくくっています。

 本書では多様なアプローチ(教育的,行動療法的,精神力動的)について説明し,家族と学校のための支援グループについての情報も掲載しています。付属のDVDを併せてご覧になると,全体的な枠組みをよりしっかりとご理解いただけると思います。
レスター大学児童青年精神医学教授 パノス・ヴォスタニス
                                ~本書「序 文」より

本書の紹介

 本書と付属のDVDは,ローズマリー・セージとアリス・スルーキンがイギリス政府の助成を得てとりまとめた報告で,SMIRA(場面緘黙情報研究協会)に協力してレスター大学が2004年に出版した『Silent Children -App-roaches to Selective Mutism-』の全訳です。
レスター大学の名誉教授であるセージ博士は,今もコミュニケーション教育やインクルージョン研究に携わり,現在はリバプールホープ大学の教育学部長を勤める教育研究者です。

 SMIRAの創設メンバーの一人でもあるスルーキン代表は,出版当時はレスター大学心理学部および教育学部の客員研究員でした。地域の精神医学ソーシャルワーカーだったときに,リンジー・ウィティントン事務局長の娘さんの支援にあたったことから両者の協力が始まり,SMIRAが誕生しました。

 本書を生んだSMIRAは,保護者の自助活動に多くの専門家が協力し,親子への支援と情報の提供にあたってきました。ニュースレターの発行,電話相談,親の会の開催を繰り広げ,インターネットによって全国化し,1999年には教師向け,2000年には保護者向けのリーフレットを作成しています。

 本書の翻訳は,日本で同様の活動を目指す“かんもくネット(Knet)”に集まったボランティアによるもので,web上で綿密な論議を重ねながら作業が進められました。スタッフにはロンドン在住のSMIRAメンバーもおり,著者に確かめながら翻訳作業を進め,かんもくネットの今後を支えるコミュニケーションを築くことにもなりました。
~本書「解説と案内」より



目 次

序文・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

日本版の出版に寄せて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
 日本版への緒言 3
 『Silent Children』日本版に寄せて 5
 
解説と案内・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
 第1節 本書の紹介 7
 第2節 場面緘黙の臨床像について 8
 第3節 アプローチについて 10
 第4節 COGSというユニークなアプローチ 12
 第5節 対人恐怖症とのかかわり 14
 第6節 教育への提言 15
 第7節 かんもくネットの今後 15 

はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21

第1章 場面緘黙とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
 第1節 場面緘黙の原因 24
 第2節 アセスメント(評価) 25
 第3節 傷つきやすい気質とは 25
 第4節 さまざまな治療法 27
 第5節 双生児と場面緘黙 30
 第6節 少数民族の子どもたちの場面緘黙 30
 第7節 まとめ 33

第2章 SMIRA・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45
 第1節 SMIRAとは 45
 第2節 全国集会(親の会) 51
 第3節 SMIRAと学校の連携:ジーンのケース 53

第3章 保護者の視点から場面緘黙を考える・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59
 第1節 場面緘黙について思うこと 59
 第2節 わかっている事実 61
 第3節 緘黙児によく見られる状態 61

第4章 ジェシカの場合・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・73
 第1節 援助を受けられない子どもたち 73
 第2節 早期対応の重要性 77

第5章 ある場面緘黙児についての教師の一考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・83
 第1節 はじめに 83
 第2節 場面緘黙とは 83
 第3節 スーザンのケース 84
 第4節 まとめ 93

第6章 学校内で行うインタラクティブ・セラピー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・97
 第1節 目標 97
 第2節 グループ 98
 第3節 リーダーの役割 98
 第4節 セッションの内容 98
 第5節 インタラクティブ・セラピーの成果 103
 第6節 まとめ 107

第7章 COGS・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・111
 第1節 はじめに 111
 第2節 問題の背景 112
 第3節 COGSの理論的根拠 114
 第4節 COGSのコミュニケーション・モデル 117
 第5節 結果 123
 第6節 参加者の感想 125
 第7節 考察 126
 第8節 COGSの効果 129

第8章 13歳男子への支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・135
 第1節 一対一のサポートとCOGS 135
 第2節 身体を用いる活動 137
 第3節 まとめ 138

第9章 言語療法が場面緘黙の治療に果たすべき役割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・141
 第1節 まだ言葉が出ていない子どものセラピー 141
 第2節 場面緘黙児へのセラピー 145

第10章 知的障害がある場面緘黙児の行動療法プログラム・・・・・・・・・・・・・・・・157
 第1節 知的障害があり,コミュニケーションがとれない
      子どもたちへの支援 157
 第2節 十代の少女,ジャヤのケース 158

第11章 場面緘黙の体験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・165
 第1節 場面緘黙だった私 165
 第2節 教師になって 167

第12章 おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・169
 第1節 発症要因 169
 第2節 恐怖感と言語活動の関連 172
 第3節 家庭と学校との話し言葉の違い 174
 第4節 治療原理 176
 第5節 複合的アプローチ 179

「家庭」と「学校」の間に橋を架けましょう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・183

監訳者略歴 186
監訳者・訳者紹介 187

付属のDVDについて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・189


監訳:杉山信作(すぎやましんさく)
広島市こども療育センター長。児童精神科医。1975年より同センターにて情緒障害や発達障害の臨床に携わり,今日に至る。

訳者:かんもくネット(Knet)
「場面緘黙児支援のための情報交換ネットワーク団体」。緘黙児の家族、場面緘黙経験者,教育や医療関係者などの会員からなり,心理士と元緘黙児の保護者が事務局を運営。

付属のDVDは,アリス・スルーキンとローズマリー・セージによって,イギリス政府教育雇用訓練省から授与された助成金により制作されました。かんもくネット(Knet)が翻訳し,日本での出版に際しては,グレイトブリテン・ササカワ財団の助成を受けました。